いくつかの選択肢を前にして、どれも間違ってはいないはずなのに、どれを選べばいいのか分からなくなることがあります。情報は十分に集めた、比較もした、それでも決め手がない——そんな時に足りていないのは、判断力でも情報でもないことがあります。センスメイキングとは、自分にとってこれはどういう意味なのかを手を伸ばしてつかみ、その納得の感覚に沿って動きを選べるようにしていくことです。
定義
「センス」という言葉から、器用さやセンスの良さを連想する人が多いかもしれません。しかし、ここでいうセンスは、そうした才能や技術のことではありません。自分にとっての意味、自分にとっての納得のことです。「メイキング」は、その納得に即して、実際に行動を選べるようにしていくことを指します。センスメイキングとは、この二つを合わせて、自分にとっての意味をつくり、それに沿って動けるようになっていく過程のことです。
なぜ、意味が分からなくなることが起こるのでしょうか。まだ言葉にならない、体の奥のほうから伝わってくる「なんとなくこの感じ」を受け取れなくなると、自分にとって何が大事で、何に違和感があるのかが見えなくなります。そうなると、状況に合っていそうな答えや、誰かに正しいと言われそうな答えを選ぶしかなくなります。外の基準に合わせているだけなので、選んだ後もどこかしっくりこないまま、また次の選択で同じように迷ってしまいます。
反対に、胸元のざわつきや、まだ名前のつかない「なんとなくこの感じ」に丁寧に目を向けていると、「自分はこれを急いで決めたくないのかもしれない」「本当はこちらの方向に力を使いたいのかもしれない」というように、自分にとっての意味が少しずつ輪郭を持ち始めます。すぐに答えが出なくても構いません。その意味をもとに、することとしないことを選べるようになっていく状態そのものが、センスメイキングです。
よくある誤解
センスメイキングとは、誰もが納得する正解を見つけることだ
センスメイキングという言葉から、誰が聞いても正しいと言える答えを導き出すことをイメージする人がいます。しかし、ここでのセンスメイキングは、他人を説得するための正解探しではありません。自分にとっての意味をつかむことが目的であり、他人が同じように納得するかどうかとは別の話です。
センスメイキングができていないのは、判断力が足りないからだ
選べない状態を、自分の判断力や決断力の不足のせいだと考えてしまう人がいます。しかし、判断力が足りないのではなく、自分にとっての意味を感じ取る余白がなくなっているだけのことがほとんどです。判断力を鍛えるよりも、まず胸元やお腹の感覚に丁寧に注意を向け直すことのほうが近道になります。
言葉にできないうちは、センスメイキングはまだ始まっていない
はっきりした言葉にならないと、まだ何も進んでいないと感じる人がいます。しかし、まだ言葉にならなくても、体の感覚として何かをつかみ始めているなら、センスメイキングはすでに始まっています。言語化は、その過程の後半に訪れるものです。
FAQ
センスメイキングとはどういう意味ですか?
自分にとってこれはどういう意味なのかを手を伸ばしてつかみ、その納得の感覚に沿って動きを選べるようにしていくことです。シンプルに言えば、しっくりくる選択をつくっていく過程のことです。
センスメイキングとフェルトセンスはどう違いますか?
フェルトセンスは、まだ言葉になる前の「なんとなくこの感じ」を体で受け取る段階を指す言葉です。センスメイキングは、その感じをもとに、自分にとっての意味をつくり、選択へとつなげていく段階を指します。フェルトセンスが手がかりで、センスメイキングはその手がかりから意味を編んでいく過程だと考えると分かりやすいです。
センスメイキングと意思決定はどう違いますか?
センスメイキングは、自分にとっての意味をつかみ、行動の向きが見え始める過程です。意思決定は、その意味をもとに、現実の選択を実際に引き受けることです。センスメイキングが土台で、意思決定はその土台の上で行われる、と考えると分かりやすいです。
誰かに相談すれば、センスメイキングは早く進みますか?
相談すること自体は役に立つことがありますが、他人の答えをそのまま受け取るだけでは、自分にとっての意味には至りません。相談の中で自分の感覚がどう動くかに注意を向けることが、センスメイキングを進める鍵になります。
センスメイキングができているかどうかは、どうすれば分かりますか?
言葉で説明しきれなくても、「自分にとってはこういうことだ」という感覚に落ち着きが出てきたら、それはセンスメイキングが進んでいるサインです。すぐに他人に説明できるかどうかは、判断基準にしなくて大丈夫です。
関連する言葉
センスメイキングがどんな感覚か、説明を読むだけで実感するのは難しいことです。実際に自分の中の「なんとなくこの感じ」に触れてみることで、初めてその輪郭がつかめてきます。オリジンコードは、その感覚に丁寧に触れていく場として設計されています。
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