「自己実現した人」という言葉には、限られた特別な人だけがたどり着く、完成された人物像のイメージがついて回ります。しかし結論から言うと、自己実現とはそうした到達点のことではありません。内側から力を受け取り、現実の中ではっきりと生きていく力が、あなたの中で身体的に働き始める現象のことです。
定義
一般的に「自己実現」は、心理学者アブラハム・マズローが提唱した欲求段階説の最上位に位置づけられ、自分の持つ可能性を最大限に発揮し、なりたい自分になることとして説明されます。この言葉は「自己実現した人」という完成された人物像とセットで語られることが多く、そこに到達できているかどうかで自分を測ってしまう人も少なくありません。
シンカランドでは、自己実現を固定的な人物像としてではなく、現象として捉え直します。誰かの中にも、内側から伸びていこうとする力——心理学者カール・ロジャーズが実現傾向と呼んだ働き——があります。この力が、身体の感覚や、心に浮かぶイメージや、言葉や、実際の行動へと流れ始める時、その人の中に自己信頼、自己効力感、人生の方向感覚、そして迷いの減少が同時に起こります。この一連の変化の束を、ここでは自己実現現象と呼びます。
大事なのは、これは「自己実現した人」になるかならないかという到達点の話ではないということです。自分を管理し、理想像に近づけようと努力するほど、かえって内側から自然に立ち上がってくるはずの力が見えにくくなることがあります。自己実現は、外側の理想に自分を合わせることではなく、すでに内側で働いている力を、身体で受け取り、現実の行動として表していく過程そのものです。
よくある誤解
自己実現とは、特別な性格や才能を持つ人だけがたどり着ける到達点だ
「自己実現した人」という言葉から、限られた優れた人物像を思い浮かべ、自分には縁のない話だと感じてしまうことがあります。しかし自己実現は、固定した人物像ではなく、誰の内側でも起こり得る現象です。すでに働いている力が、身体の感覚や行動として現れ始める、その動きそのものを指します。
自己実現のためには、まず自分を理想像に近づける努力が必要だ
理想の自分を頭で描き、そこに向かって自分を管理し、改善し続けることが自己実現だと考えられがちです。しかし、理想像を先に外側から当てはめようとするほど、内側で自然に働いている力の声がかえって聞こえにくくなることがあります。管理を強めるより、すでに働いている力に気づき、それを受け取ることのほうが近道になります。
自己実現すれば、自信満々でポジティブな人になる
自己実現を、強気な態度や常に前向きな性格になることだと誤解されることがあります。しかし、ここでの自信とは、自己信頼、自己効力感、人生の方向感覚、迷いの減少が同時に生じる複合的な現象であり、性格が明るく変わることとは異なります。静かに、けれど確かに、内側から力が働き始める感覚として現れることが多いです。
FAQ
自己実現とはどういう意味ですか?
一般的には、自分の可能性を発揮し、なりたい自分になることを指します。シンカランドでは、内側から伸びていこうとする力が、身体の感覚や言葉や行動へと流れ始め、自己信頼や人生の方向感覚が同時に生まれてくる現象として捉えています。
自己実現した人と、まだできていない人がいるのですか?
そのような分け方はしません。自己実現は完成した人物像ではなく、誰の中にも起こり得る現象です。今すでに、内側の力が少しずつ働き始めている最中だと捉えるほうが実感に近いです。
自己実現と自己肯定感はどう違いますか?
自己肯定感は、自分をありのままに認める感覚を指すことが多い言葉です。自己実現は、それよりも広い現象で、内側の力が身体感覚や言葉や行動へと流れ始め、自己信頼や自己効力感や方向感覚が同時に生じる一連の動きを指します。自己肯定感は、その現象の中で起こる変化のひとつと捉えることができます。
自己実現するために、まず自分を変える努力をするべきですか?
必ずしもそうではありません。理想像に向けて自分を管理し、変えようとする努力が先に立つと、かえって内側の力の声が聞こえにくくなることがあります。すでに働いている力に気づき、受け取ることのほうが、自己実現には近道になることが多いです。
自己実現と自己実現現象という言葉は同じ意味ですか?
ほぼ同じ意味で使っていますが、「自己実現現象」という言い方は、これが固定した状態や到達点ではなく、今まさに起きている動きであることを強調するための表現です。
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